坪井浩尚ワークショップ



先日ご案内した十和田アートグッズデザインコーディネーター養成研修と連動して開催するワークショップのご案内です。






プロダクトデザイナー坪井浩尚による「裂織」ワークショップ


江戸時代中期、寒冷な気候のため綿や絹といった繊維が貴重だった東北地方で、古くなった布を細かく裂き、麻糸などと共に織り上げたことが「裂織 / さきおり」の起源だそうだ。
「糸」が「布」に姿を変え使い古された古布が、生涯を終える正にそのとき「布」からもう一度「横糸」という原材料にリバースさせる事で、全く別の質感を伴った衣料として新たに蘇らせてしまった先人の知恵は、これ以上ないとさえ思える素晴らしい再生技術である。
一方、低価格でハイテク衣料が市場を席巻する現代にあっては、その技術も生き残る事すら容易ではない。貧困を超えた美意識が民芸や伝統技術として粛々と継承される一方、今となっては裂織という名を知る人でさえそう多くは期待できないのかもしれない。
灰となり地に還るまで。先人のモノに対してのふるまいや愛情は、より価値が高いと唱われる”新たな”モノに替える事を常として育ってきた僕たちに、今必要な何かを痛切に物語っている。
自身初のワークショップのお話を頂いた際に、十和田で培われ発展したこの伝統工芸をテーマに、時代淘汰されない強度を持つこれからの「裂織」の在り方、ひいては、市場にも響く民芸や工芸、これからのデザインの可能性を、様々な観点から参加頂ける方と共に考えてみたいと思った。
混沌とする昨今にあって「これから」と「これまで」をアンビバレンスに、また動的にバランスさせる思考=デザインが、今後さらに重視される価値の一つだという気がしてならない。


坪井浩尚




坪井浩尚 / Hironao Tsuboi
1980年東京生まれ、静岡県育ち。04年多摩美術大学環境デザイン科卒業。卒業後曹洞宗大本山總持寺にて雲水として安居。06年、兄の坪井信邦が代表を務めるデザインブランド、100%の立ち上げに参画するとともに、これまでの同ブランドのデザインを手がける。07年Hironao Tsuboi Designを設立。
対象の環境を柔軟に読み解く、多角的なアプローチに定評があり、現在まで日用生活品から家電製品・家具など、プロダクトデザインを中心に幅広い製品を手がけている。受賞にはred dot Award (独), D&AD global awards(英), Good Design Award等。08年度の I.D.Magazine(米)『 World emerging designers 40 』に選出。09年D&AD (英)『Creative Faces』Japan’s most exciting new design talent に選出。